【周辺地図(マピオン)】
福島県道249号上戸渡広野線 は、いわき市と双葉郡広野町を結ぶ、全長約20kmの一般県道である。
起点のいわき市上小川町上戸渡(かみとわだ)通称“十文字峠”で国道399号から分かれた道は、間もなく阿武隈高地の主稜線を越えて浅見川源流の谷へ入ると、以後は終点である広野町の国道6号交差点まで、ずっと同じ川に沿って走る。終点は太平洋岸のそばなので、まさに浅見川の始めから終わりまで全てを見届けるルートになっている。
本県道の整備状況はあまり良くなく、特に最上流の集落である箒平以西は数年前まで未舗装だったほどだ。現在は鋪装こそされたが、ほとんど集落の山中に延々続く一車線道路のうえ、頻繁に倒木などの些細な事情による通行止めがなされるため、マイナーな県道という評価からは全く抜け出していない。
さて、実はこの県道には、 旧道とみられる道が存在する。
未だ十分な整備をされていない県道の旧道と聞けば、相当過酷な道を想像される人が多いと思うが、実態は少しばかり異なっていたりする。
問題の“旧県道と思しき道”があるのは、現在の県道の起点から国道399号を4kmほども北上した場所である。
地名としては、いわき市上小川町という大字までは一緒だが、字が県道名にも入っている「上戸渡」ではなく「中戸渡」である。
そこに、かつて県道だった名残を留める道が存在しているのだが、現道と旧道とで、起点がこれだけ大きく変化したというのも、なかなかに珍しい。単純な距離だけでなく、高度差も200m以上ある。
左図は、その“旧県道と思しき道”の周辺の地図である。
「出発地」とした地点から「中戸渡」の注記のある場所へ向かって描かれている「く」の字にカーブした道が、それだ。
現在は県道でないので、この地理院地図にも県道としての着色はされていない。
もちろん塗り忘れではなく、平成28年版の福島県いわき建設事務所「管内概要」を見ても、県道ではないことになっている。
だが、現地には、これから紹介するように県道であったとみられる名残があり、他にもそれを裏付ける資料がある(後述)ので、やはりこの道は県道であったのだと思う。
すなわち、旧県道とうことになる。
ごく短い旧県道である。さらっと紹介しよう。
2010/4/4 17:12 【現在地】
ここは、いわき市北部の山間部にある中戸