2011/9/28 13:55 (下山開始リミットまで…残り12時間以上!) 【現在地】
もういい年なのに、未だに中二病の気質を大切にしている私である。
自ら下した「今夜は塩那道路泊りとする」という決断に対して、 「行動時間のリミットを解除!!」 などと、聞かれたら恥ずかしい独り言を得意げに放った憶えがある。
だが、想定外の山中泊への不安や恐怖心は、この時点でもほとんど感じておらず、限りなく開放的で快活な気分に満ちていた。
そうなる理由も明らかで、既に泊まるべき場所を確保していることや、天与の好天からくる朗らかな陽気の存在、そしてなにより、この塩那道路を既に一度は征服をした、私の支配地域のように感じられた事による。(それは奢りだとしても、私の気分は私だけが決めるもの)
そんな幸せの中、まさしく満を持して体感したのが、本日初、いや、
生涯初となる、塩那道路“天空街道”より見る西側の大展望 であったのだから、そのテンションの高まりようは想像が出来ると思う。
私は、この景色の何事かを、文字で表現する必要があるだろうか。
身の丈に合わないような難しい讃美の表現を辞書に頼って持ち出すのでなければ、「綺麗だ」という極めて平凡な表現に頼るよりない。
そして、このとき現実の私の心を支配していたのも、小難しい表現ではあり得なかった。
ただただ、純粋に綺麗としか思われなかった。
だから、文章を練る努力を多分に欠いているとは思うけれど、ここではそれで良しとしたい。
また、この広大な風景には、この山域に詳しい人の目を喜ばせ、また語りたくなるような内容が数多く含まれていよう。
近い眼下に広がる樹木のあれこれや、中ほどから遠くに海波のごとく広がる山並みの頂点それぞれに名前を示す、山座同定の楽しみ。
いろいろあろうとは思うが、残念ながら私が今それをやろうとすると、その大半が後付けの内容になってしまう。
だから、それもやらない。
ここでは、私が現地で手元の地図と風景とを交互に眺めているなかで分かったことを中心に書こうと思う。
私が半日あまりを費やしてよじ登ってきた男鹿川の谷は、眼下に広がる緩斜面と、その向こうを横切る稜線の間に広がっている。
この密林の緩斜面の右端辺りを工事用道路が掠めていて、2時間くらい前に通っているのだが、もちろん道形が見えるはずもない。
男鹿川