上部軌道の全長は8.7kmとされる。
私が最初上部軌道に辿りついた地点は、その起点から1.5kmのところで、根尾滝遊歩道が濁河川を渡る橋のほぼ真北、無名の谷の上部であった。
そこからまずは起点を目指して歩き、1時間10分で到達。
10分ほど起点に滞在してから反転し、同じ道を戻った。
戻りはほとんど脇目も振らずに歩き、50分ほどで“初到達地点”へ戻ることが出来た。
デポした自転車が待っている「追分」は、ここからまだ8kmくらいも遠い。
上部軌道の終点へも、7.3kmという長い距離が想定される。
今ならまだ、「ワルクード」に戻る事は容易いが、ここから先へ進めば、戻るも行くも一筋縄ではない境地に入るだろう。
もちろん、今は戻る理由など全く無いのだが、心して進む必要がある。
2013/5/2 10:48 【現在地】
上の「前説」に書いたとおり、上部軌道起点「岳見台停車場」から1.5kmの軌道跡を黙々と復路し、ちょうど2時間ほど前に人目も憚らず ガッツポーズ をした現場へ戻ってきた。
既にこの時点までで軌道跡を合計3km歩いたので、正直なところ、軽い疲労感を感じ始めている。
このうえ今日は更に8kmも歩いて、さらに自転車を20km以上漕がないと終われない(=クルマに戻れない)とか、足元のレールが励ましてくれなければ、もっともっと気の重い探索になっていただろう。
しかし、今の私には何といっても、レールが居てくれる。
このレールを放って立ち去るなんて事、考えられないのである。
とことん、付き合うぜ!!
根尾滝遊歩道からこの上部軌道へ登ってきたときのことを思い出してもらいたいが、私はひたすら無名の谷筋をよじ登ってきたのであった。
最後の最後で谷底を登る事に不安を感じ、僅かにそこを逸れて登ったところで路盤跡に辿りついたのであったが、もしもう少し辛抱強く谷筋を上り続けていたとしても、何の問題もなく路盤跡に出会っていたという事が判明した。
件の無名の谷と軌道跡が交叉する地点には、軌道に沿ってカーブする小規模な石垣が残っており、旁らには集材機でも納めていたような小さな掘っ立て小屋の崩れた物があった。
もし今後私と同じルートで上部軌道を目指す人がいたら、この石垣や小屋の跡を目印にすれば良いわけである。
明るい時間ならば見落として先に進むということは、まず無