2008/7/2 13:12
現在地は、梓川筋最奥の集落である沢渡(さわんど)のはずれ。
これから本格的な山と谷の世界へと分け入っていく。
図中の現国道は、昭和44年に「山吹工区」として着工、同48年に完成した区間である。
したがって我々が辿る旧道は、旧道になって40年弱経過していることになる。
現在の地形図にも、この区間の旧道は破線で描かれており、途中にはそこそこ長い隧道まであるようだ。
早速だが、楽しみな区間だである。
いきなりの深い藪から始まったこの区間だが、幸いにして50mほど進むと視界が開けた。
そして、そこにはより鮮明なカタチで、現道と旧道の立体的な関係性が示されていた。
頭上を跨いでいるのは、現道の栂桜(つがさくら)橋。
緒元は不明だが、梓川筋でも有数の大型橋で、河床から30mほどの高みを越える、方杖ラーメン形式の鋼橋だ。
山吹工区の大工事としては、この栂桜橋と、それに続く新山吹トンネルが挙げられる。
旧道上には、まだクルマが通れていた時代(末期?)の遺物なのか、決壊した路肩を示すように赤いコーンが置かれていた。
スコンスコンッ
そんな破裂音を響かせながら、勢いよく橋を渡っていくクルマたち。
彼らには全く想像もつかないであろう谷底に、40年前の道はあった。
藪がいくらか浅いのは、ここにはまだ鋪装が残っているからだった。
僅かな踏み跡分だけを残しつつ、窒息寸前となった鋪装である。
この栂桜橋を潜ればすぐに隧道が現れる。
地図はそう教えていた。
否が応でも、我々の期待は高まった。
スコンスコンッ
13:19
スコンキター!スコンッ
…あります。
地図にある隧道くらい、あって貰わなきゃ困るんだけど、やっぱり嬉しい廃隧道発見。
しかもこれ、
なかなかどうして、
…凄いところにある。
ザーーーー!!! キター---! スコンスコン
坑口が、滝壺に…。
しかも、水の出所を見上げれみれば、…現道だし(笑)。
何を考えてこんなカタチになっているのか…。
水路の故障か何かでこんな風になっているのかも知れないが、ともかく前代未聞といっても良い光景だ。
哀れ、永遠の滝行を宿命づけられてしまった旧山吹隧道。
ほぼ無装飾に近いがアーチリングだけは鮮明な坑門や、1.5車線分しかない幅など、明らかに前世代的な作りである。
電線を仕込んでいた鉄管