小阿仁林鉄は、小阿仁川とその支流に路線網を敷く、本線全長43kmに及ぶ森林鉄道である。
この路線は大正後期に上流部の開通をみて以来、徐々に下流方向へ路線を延ばすという、多くの林鉄とは逆方向の延伸を重ねた。
これまで「山さ行がねが」および「日本の廃道」においては、小阿仁林鉄とその支線に関して7本のレポートを掲載した。(右の地図はクリッカブルマップになっています)
それらはいずれも下流部と上流部に属するもので、中流部に関しては探索自体をしていなかった。
そのわけは、中流部の地形がかなり穏やかで、並行する国道から全容を把握できると感じていた為である。
しかし今回(といってもレポート執筆時点からみれば10ヶ月も前の話だが)、このエリアに詳しいミリンダ細田氏が、住民からの地道な聞き込みの結果、この中流域に隧道を発見したというのである!
その場所は上小阿仁村堂川地区で、これを含む福舘〜根田間延伸は昭和13年である。廃止は昭和42年頃だ。
従来、隧道のような “おもしろいもの” は何も無いだろう考えられていた小阿仁林鉄中間部。
そこでの隧道発見の報を受け、私は細田氏の案内を頼りに現地へと向かった。
小阿仁林鉄の中間部は、左図にみられるとおり、小阿仁川の広い河谷の端の山麓線に沿って通行している。
平坦な部分はそれ以前から宅地や農地となっており、林鉄は敢えて利用度の低い土地を選んで安価に作られていたことを示している。
この一帯に戦前まで自動車道はほとんど無く、林鉄が生活の足ともなっていたのであるが、その後に作られた現在の道路網は、斜面の狭隘地に作られた軌道跡を利用することなく、平坦な川縁に開通した。
よって、林鉄跡はかなりの部分で現存している。
細田氏によれば、右図で示した位置に隧道があったという。
確かにこの地点、国道からだと小さな山の陰になって遠望が効かない。
2007/12/7 14:54 【現在地】
まずは現地へ近づく途中に撮影した、小阿仁林鉄中流エリアの象徴的な風景をご覧頂こう。
右の写真は国道285号から撮影したものだが、雪に埋もれた水田の向こう、山の裾に沿って真っ直ぐ続くラインが見えると思う。
これが、小阿仁林鉄である。
現在は藪に埋もれた廃道状態なのだが、いままで私が余り興味をそそられなかったのが分かると思う(笑)。
いくら全長43km