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全長510mほどの釜トン。そのほぼ中間地点にあるカーブの外側の壁には、同じ形をした穴が二つ並んで開いていた。
人が出入りするには小さいが、いったい何の穴なのか?
右図の通り、現在地点は明らかに地中である。
先ほどの「明かり窓」のように、壁一枚で外に通じているとは思えない状況なのだ。
私とナガジス氏は、
一人一穴の体制で、ここに進入してみた。
おや、ナガジスさん。
四角い穴をしゃがみ歩きで通過すると、そこには立ち上がれるだけの空洞が現れた。
そして、そこではもうナガジス氏がニコニコしていた。
……ここは、どこ?
どこだ?!
ここも… 釜トンなのか??
やべー…
また洞内分岐だよ……。
我々が潜り抜けた二つの穴は、よく知られた釜トンと、その陰に存在している 知られざるもう一つの釜トン とを結ぶ、秘密の通路のようであった…。
両者を分ける隔壁は、分厚く堅牢なコンクリート製だ。
横穴は完全に抹殺出来たはずなのに、二つの穴が残されたのは何故だろう。
それはさておき、数十年分の排気ガスは穴を通じて“こちら側”にも充満していたのだろう。
素堀の岩盤は、煤によって真っ黒く変色している。
それはさながら火災現場のようである。
火災現場とのもう一つの共通点は、そこに何ら“生ある”者が無さそうだという点だった…。
目の前には、全く得体の知れない金属製の残骸が置かれていた。
明らかに“二つ穴”よりも大きく、今のように塞がれる以前に持ち込まれた“何か”であることは明らかだった。
そして、横穴は異様に狭かった。
立ち上がるともう、目線は明らかに天井に近かった。
目測であるが、 「幅2m、高さ2m」 程度と思われる。
周囲の壁はすべてコンクリートに覆われているものの、路面のみは未舗装で、拳大の瓦礫やコンクリートの破片、木片などが雑多に積まれていた。
ここは、明らかに“年季の入った廃隧道”の姿である…。
巨大な残骸の脇をかわすと、進路が開けた。
出口だ!!
なんと、この横坑は外へと通じていた。
推定される全長は、50mほどだ。
その進行方向はおそらく、壁の穴を抜ける前に歩いた直線を、ただまっすぐに延長した方向である。
そして、引き継がれているのは進行方向だけではなく、アノ道路トンネルの常識を覆す急勾配(15%)もまた、この横坑にそのまま繋がっている。
こ