※このレポートのタイトルを水無沢隧道から馬場目隧道に変更しました。(2014/8/29)
私が住む秋田市で最長のトンネルは、平成18年現在でもなお、昭和9年に完成した一本の隧道である。
ましてその隧道が、森林鉄道用の隧道であり、昭和40年代初頭には全てが廃止されていると言えば、なんと秋田市の開発の進んでないことかと驚かれるかも知れない。
だが事実、後にも先にも秋田市内にこれを超える長さの山岳トンネルは存在していない。
そんな曰わく付きの隧道を、私も過去何度となく訪れている。
2002年に自身としては始めてその坑口を発見し、その模様はこの山行がでも紹介している。
さらに2004年には水没する内部へ侵入、閉塞地点の模様をお伝えすることにも成功した。
だが、未だにこの隧道の秋田市側の坑口を発見したという報告は、内にも外にもない。
私も以前、捜索しに入山したことがあるが、その時は発見できずに撤収したという苦い思い出がある。
だが、その坑口を私は、 昨年(平成17年)11月6日の捜索にて遂に発見した!
その一部始終を、ご覧頂こう。
現地は秋田市の北東の端、五城目町との境界をなす太平山地の奥深くにある。
市街地に近いと思われがちだが、今だこの峠は県道の不通区間となっていて、細々と林道が通うだけ場所だ。
そんな場所に、昭和9年という早い時期に全長500mもの隧道が掘り抜かれ、五城目町側で伐採した木材の運搬に供された。
記録では昭和17年に廃止された事になっているが、私は、隧道自体についてはその後も暫く存続したものと考えている。
最奥の仁別集落から未舗装の中ノ沢林道を5kmほど進むと、いよいよ峠越え区間となり、大きな石がゴロゴロと路面に転がる普通車泣かせの道となる。例年土砂崩れなどで通行止めのことが多い道だ。
そして今回私は、未発見の坑口の所在地を度重なる失敗と詳細な机上調査により、ただ一箇所に擬定した。
それが、登りの途中で林道がヘアピンカーブの頂点とするこの地点。
雨池沢の標柱の立つ、この上流である。
実は、以前にもこの雨池沢の上流がくさいと睨んで探索したことがあった。
その時は沢伝いに遡ったのだが、沢が細く急すぎるためこにレールを敷くことは不可能であるとして、捜索を早々に打ち切った経緯があった。
しかし今回、林道と林鉄は全く別の位置を通過し