通行料収入が建設費残高を上回っている琵琶湖大橋(大津市―守山市、1・4キロ)の料金徴収を続けるかどうか、三日月知事は24日の県議会で方針を表明する。有料道路は建設費を償還すれば無料化が原則だが、先細る自治体の財政を見越して周辺の市などが有料継続を強く求めており、知事の判断が注目される。(小野圭二郎)
琵琶湖大橋は県が建設し、1964年に開通。料金徴収期間は2021年までだが、総額348億円の建設費のうち13年度末までに294億円を返済する一方、111億円の積立金があり、実質的には10年度以降、すぐに全額返済できる状態だ。
「料金徴収を続ける意義は乏しい」とする包括外部監査の指摘もあり、県は昨年8月から半年余り、大橋を管理する県道路公社や、大津、守山、栗東、野洲の4市と研究会で、大橋のあり方を協議。しかし、周辺道路の渋滞や整備継続のため市側が有料を求めるなどして方針決定に至らず、4市の主張に、県市長会(会長=冨士谷英正・近江八幡市長)も同調。今月5日、三日月知事に意見書を提出し、「年間約3億5000万円の維持費が県財源を圧迫」「これからは受益者負担が必要」と迫った。
道路整備特別措置法では、有料道路は徴収期間が満了するか償還完了すれば原則、無料化すると規定。積立金に関する定めはないが、全国的には償還にめどがつけば無料化するのが一般的で、未償還分があれば公費をつぎ込むことも珍しくない=別表=。
県道路公社でも、1989年に奥琵琶湖パークウェイ(長浜市)を県が直接管理するため、2010年には途中トンネル(大津市)を周辺道路の混雑解消のため、それぞれ早期無料化した。
反対に、徴収期間を終えて維持のために有料を続けるのはハードルが高く、現在、関門トンネルなど3例しか認められていない。県も、琵琶湖南端にかかる近江大橋(1974年開通、大津市―草津市、1・29キロ)が2013年末に徴収期間を終了する前、有料の延長を検討。主立った市長らはこの時も「県の財政圧迫」などを理由に繰り返し延長を要望したが、条件を満たせず、満了をもって無料化した経緯がある。
ただ、高度成長の時代から整備してきた道路の維持や更新の費用の捻出が、新たな課題となっている。14年には同特措法などが改正され、首都高速など主要な高速道路の有料期間が最大15年延長して65年まで認められた。国土交通省も有識者の指摘を受け、