7月1日、宮城県の仙台空港が民営化されました。国が管理する全国の地方空港の中で、初めての試みです。地方空港の活性化に向けて、起死回生の一手として始まった民営化。空港にどんな変化をもたらすのでしょうか。(仙台局 勝又千重子記者/経済部 橋本知之記者)
空港の民営化とは
東日本大震災の津波で大きな被害を受けた仙台空港。あの日から5年余りがたった7月1日、仙台空港は全国でも初めての民営化に踏み出しました。
空港の民営化は、国が滑走路を所有したまま運営を民間企業に任せるものです。仙台空港では、これまで運営の主体が、滑走路は国、空港ビルと貨物ターミナルは宮城県が出資する第3セクターと、それぞれ別々でした。民営化後は、 滑走路・空港ビル・貨物ターミナルを、すべて同じ民間企業が運営します。 一体的な運営を行うことで、効率化を図るとともに、民間ならではの経営ノウハウを導入することで、空港の活性化も実現するというのが民営化のねらいです。
仙台空港では、入札を行った結果、東急電鉄と大手建設会社の前田建設工業、大手商社の豊田通商などが出資する新会社の仙台国際空港が、今後30年間、運営を行っていくことになりました。
路線誘致に注力
運営を引き継いだ新会社が、今、最も注力しているのが、新たな路線の誘致です。空港の利用者を増やすには、路線の拡大が欠かせないからです。ただ、全国のほかの空港も、路線の誘致に取り組んでいるだけに容易なことではありません。
そこで、運営会社は、航空会社が空港に支払うさまざまな料金を引き下げることで路線の誘致につなげようとしています。
その1つが 着陸料 です。着陸料は、これまで国が管理する空港では、仙台空港を含めて全国一律の基準がありましたが、民営化後は、運営会社が自由に設定できるようになります。運営会社は、搭乗客が少ないときには着陸料を安くするなどして、全体として航空会社の負担が軽くなるよう計画しています。
さらに、LCC=格安航空会社向けに、ボーディングブリッジ=搭乗橋のない新たな搭乗口を建設し、ボーディングブリッジの使用料を支払わなくてすむようにすることも計画しています。
運営会社は、こうした取り組みで路線を増やし、空港の利用客を30年後には現在の1.7倍の550万人に増やしたいとしています。
収益の柱は物販収入
運営会社では、航空会社からの料金収入を抑える一方