必死で吊り橋と格闘している最中、
しゃくるように見た下流側左岸の風景に、
ある違和感をおぼえた。
あれは、 道?
橋とほぼ同じ高さに見えた、道らしきライン。
これをそのまま橋の袂へ延長すると、道は繋がっているように感じられた。
そして、私には心当たりがあった。
実は探索に出てくる前に、この旧鳥坂大橋の起源を知りたくて、手許にある昭和20年代の5万分の1地形図(阿仁合)を見ていたのだ。
そしてそこに本橋は描かれていなかったが、それに代わる旧道の存在していたことを知っていたのである。
この発見は、本橋の起源に関わるものだった。
【周辺地図(マピオン)】
右の画像は古地形図を加工したもので、赤く示したのが昭和20年代の「鳥坂林道」である。
「182」とかかれた独立標高点の近くを見ていただきたいが、鳥坂川本流に2本の沢が合流してくる複雑な地形の中を、2本の小さな橋を架して通過していたことが分かる。
また、この線の太さは軽車道を示すものである。
画像にカーソルを合わせると、最新の地形図に旧道を重ねて表示する。
便宜上、 A と B の2つの区間に分けたが、Aが純粋に廃道と思われる最新地形図に道のない区間で、Bは鳥坂林道の支線である雷ノ又(いかずのまた)林道と重複していると考えられた区間である。
ちなみに橋上から見えたのは、Aの最も南寄りの部分であろう。
今回はこの「 鳥坂林道旧道 」と呼ぶべき道を紹介しよう。
2009/11/14 15:48
この場所へ来た時には雨も上がり、遠くの雲の切れ目に青空をみて喜んだりしていたが、約40分の旧橋との格闘の最中再び雨が降り始め、いまや本降りである。
しかも午後4時という、新たな探索行動を起こすには微妙な時間。
これから1時間後にはすっかり真っ暗になっているはずである。
まあ、これから行おうとしている旧道は1kmに満たないので、やばくなったら引き返せば大丈夫だろう。
ということで、現橋の右岸側袂から旧林道へ分け入る。ここは旧橋との分岐地点でもある。
本降りの雨はカメラのレンズを見逃してはくれない。
タオルで拭いながら撮影を試みるが、時間的な薄暗さもあって写真写りは最悪に近い。
なにとぞご容赦願いたい。
写真は旧林道に入ってすぐの場面。
「場面」といえるほど特徴のある場所ではなく、ただの藪に限りなく近いが、一応は路