14:20
まだ2時過ぎなのに、早くも暖かさを失っていく冬の太陽。
たった一本のチェーンで塞がれた作業路へ入ると、そこは車が通れるだけの幅がある。
路肩にはコンクリートで固められた石垣があり、ただの作業道にしては大げさな気がする。
やはり、古道なのだと思った。
鉱山にも関係しているかもしれない。
地形図に神社や対岸への橋が描かれている氷川鉱山までは、地図読みで1.8kmほどである。
この距離なら、道がちゃんとしているならすぐに着けるだろう。
北岸谷底の都道に対し、南岸山上の古道の距離的な優位を感じる。
すっ、すげー…
私は、作業道へ入って100mも行かないうちに、もうこの道がただの作業道ではあり得ないと確信した。
道はちょうど日原川の河谷の傾斜が急から緩へ切り替わるラインをなぞっており、道よりも上には点々と造林地があった。
故に造林作業道として使われてきたのだろう。
しかし、路肩をのぞき込めば、そこは足の長い石垣である。そして谷底。
まるで林鉄のようだ。
作業道に入ってからも登りは続いているが、その勾配は緩くなった。
木々の切れ間から対岸の都道が見えた。
今日だけで既に一往復した都道には何となく愛着を感じたが、それがとても小さく見えた。
とても高いところまで自分が登ってきているのだと知る。
地図は言う。この道は谷底からぴったり150mの高さの山腹を通っていると。
道幅は狭く、この写真の場所はこれでも広い方だ。
待避所のような場所はここまで一カ所もない!
入り口のチェーンさえ無ければ乗用車でも入って来られるが、殆ど誰も来ていないらしく路面には落ち葉が溜まっている。
落ち葉には瓦礫が多く混じっており、私はそれを知らず踏んでパンクしないように細心の注意を払った。
こういう道はパンクしやすい。
こんな道だが、地下には水道管が埋設されているようだ。
コンクリートで固められた路面には「制水弁」や「空気弁」と書かれた蓋が顔を出していた。
相変わらず斜面の傾斜は厳しく、道は両側が岩場である。
そのまま痩せた杉林に入った。伐採するのももちろんだが、手入れも大変だろうに。
しかし、この林の存在が、日原みちを生きながらえさせて来たのかもしれない。
こうしてチャリに跨ったまま進めたことは、時間的に大変大きな意義があった。
うわっ。 ここは狭