2009/11/22 7:14 【現在地】
近くにあった保護地域を示す看板の地図によれば、小さな橋の架かるこの沢は「大サコ沢」という。
橋の先は未舗装で、前夜の雨を色濃く残した道となる。
秋町隧道まであと9km、六厩橋まであと11kmある。
砂利道になって400mほどで、また1本の橋が現れた。
その橋は、【上から見ると】ただの高い築堤のように見えた。
欄干も親柱も全て折れて落ち、しかも路上にはぶ厚く土砂が堆積しているせいである。
なんとも荒々しい橋である。
薄氷のはった橋を、余り派手に水撥ねしないように注意深く渡る。
最近私のチャリは、長年愛用していた泥除けが壊れてしまい、濡れ場の突破には気を遣うようになった。
夏場ならば別にイイが、冷たい水撥ねはごめんだ。
道の中央に埋もれたコンクリート製の列。
その正体は、見るからに路肩の擁壁である。
このラインよりも山側だけが古い道幅だとしたら、相当に狭かったことになる。
かつて、何らかの事由によって大規模な拡幅工事が行われたのだろうか。
さて、道は依然として落部沢を左に見ながら、この沢が狭まる所まで大きく迂回を続けている最中だ。
向かいの山腹には、折り返した先の落部峠に向かう登り坂が、杉林の帯として鮮明に見えている。
ちょうど道の上側だけが植林地になっているためだ。
地形図などではこの辺りの谷も湖として描かれるが、実際にはここまで水位が上がることは稀であるらしく、草原が大部分を占めている。
この草原にはかつて落部集落の僅かな田畑があり、その向こう側の山腹に集落はあった。
そして、集落裏手の鞍部が「落部峠」だった。
風のない風景に、動くものは何一つなかった。
鳥のさえずりも、水のせせらぎさえも聞こえない、荒涼とした雰囲気だ。
またしても、橋。
地形図では無名の澤だが、やはり現地の看板によって「スゲ尾谷」という名前を知った。
落部沢の大きめな支流である。
この橋には親柱がかつてあったようだが、ねじ切られたように一本も残っていない。
欄干の代わりには、申し訳程度の車止めがギザギザに取り付けられている。
いかにも一般道路用ではなく林道用として生まれた気配を感じるが、どうだろう。
ダム工事とともに生まれた事情を考えれば、昭和30年代の建造物なのは間違いないだろう。
7:30 【現在地】
スゲ尾谷を