「1、2丁目がない町」の金沢市観音町3丁目が、「住民のいない町」になった。唯一
暮らしていた画家の坂井徹(画名・幸司)さんが先月上旬に亡くなったためだ。当面、町
名の変更はないが、藩政期から続き、昭和の住居表示変更でも市職員の見落としで生き残
った「観音町」。住民が守り続けてきた町の灯りが再びともるには、時間がかかりそうだ
。
観音町3丁目は東山1丁目と子来(こらい)町に挟まれた高台にある。洋画家の国本克
美さんと弟昭二さんらが住んでいたが、最近は克美さんの弟子だった坂井さんが克美さん
の死後に移り住んで、暮らすだけだった。
観音町の町名は観音院に由来し、かつては1、2丁目もあった。1966(昭和41)
年、郵便業務の効率化を目的とした新住居表示で東山1丁目に変更されることになったが
、市職員が高台にある3丁目を見落とし、その後、東山1丁目に加わるよう要請したが、
当時3軒を所有していた昭二さんが「このままでいい」と拒否し、3丁目だけが残った。
昭二さんは2005年に死去、坂井さんは先月6日、肺がんのため62歳で亡くなった
。
市によると、今年9月1日現在、市内に現存する869町丁のうち住民登録がないのは
55町丁ある。とはいえ、大半は公共施設や道路、店舗だけで占められ、住宅が建ってい
ない場所だ。
ただ、まちなかの空き家は増加傾向にあり、観音町3丁目のように住民登録があっても
、人が住んでいないケースがあっても不思議ではないという。
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