私は、東京に移り住んだ地の利を活かし、月に一度くらいは千代田区九段下にある国土地理院関東地方測量部というところへ通っている。そこでは、これまで発行されたほぼ全ての地形図を閲覧することが出来るし、気に入った物があったら一枚500円でコピーを購入することが出来る。
これから紹介する隧道は、そうした地道な活動の中で見付けた小さな廃隧道である。
左右の地図を見比べてみて欲しい。
ここは、三浦半島の付け根に位置する逗子市北西の小坪海岸で、地図の左上の市街地は鎌倉市の一部である。(半島内での位置図はこちら)
この地名を聞いて、“出る”スポットの最古参としてマスコミにも度々登場し、余りに名前が売れてしまった「小坪トンネル」を思い出した人もいるだろう。
確かに、この小坪地区には“アノ”トンネルが存在する。
だが、今回の本題はそこにはない。
右の地図には、その一部を拡大したものを書き加えているが、今回表題の“小坪のゲジ穴”は、その中に描かれている。
そして、同じ部分を現在の地形図と比較してみると、確かに消失していることが分かる。
そこに何が有るのか、 或いは無いのか。
これを確かめるべく、三浦半島一円を舞台にした隧道巡りの二度目の旅の中で訪れた。
2007.3.31 8:06 【鎌倉市 材木座】
現在地は鎌倉市材木座。
右の地図を参照していただきたいが、ここから“とあるトンネル”をくぐって、目指す「地図から消えた隧道」が眠る小坪地区へ向かうことにする。
左の写真は、進行方向(南)を向いて撮影。
眼前には屏風のような岩山が立ちはだかっており、これは鎌倉市と逗子市の境となっている。
また、右の石とコンクリの防波堤のような壁は、昔は本当に防波堤だったものだが、今はそのさらに海側に国道134号が通っている。
良く写真を見ると、防波堤の向こうにも街灯が見えるだろう。
そのまま広い道を真っ直ぐ進むと、すぐに岩山の麓へ辿り着く。
直前で急に路幅が狭まるとともにS字のカーブとなり、そのすぐ頭上を国道が跨ぐ。
そして、位置を入れ替えた両者には、もれなくトンネルが。
さて、この二本のトンネルであるが、国道のものは「飯島トンネル」、この道にあるものは「小坪海岸・・トンネル」という。
どちらも比較的新しいトンネルで、特に“いわく”は無い。
これらのトンネルをくぐってもイイのだ