【mapion 現在地】
「道路トンネル大鑑」の巻末リスト(※ORJにてこれを加筆修正し『隧道データベース』として公開している)によれば、主要地方道沼津土肥線には6本の隧道がある。
この資料は昭和40年頃のものであるが、現在この6本の隧道は全て旧道化している(一本は開削済)上に、3本の隧道に対応する現道は国道への昇格を果たしている。
右の図中の赤いラインが、一連の旧道である。
今回のレポートでは、このうち4本の隧道の現状をお伝えすると共に、その途中にある“道路特異点”を紹介しよう。
それは、私が勝手に“隧道の辻”と名付けたが、一般に辻というのは交差点のことである。
このレポートには、
おそらく日本で最も多くの隧道が面する交差点が、登場する。
レポートの開始地点は、沼津市口野の金桜神社参道下だ。
2008/2/4 9:04
金桜神社のある高台から見下ろす江浦湾。
江浦湾は沼津湾の小湾で、沼津湾は巨大な駿河湾の一部である。
古い地図と現在を較べると全体的に海岸線は前進しており、随所で埋め立てが行われた結果である。
そして、静岡県内有数の都市で、政令指定都市へ向けての取り組みも見られる沼津都市圏に飲み込まれつつあるように見える。
これから紹介する一連の隧道達は、この江浦湾の海岸線が切り立った崖や磯ばかりであった時代に作られたものである。
町並みとのアンバランスが見所だ。
金桜神社の(正規の)参道下から400mほど主要地方道沼津土肥線を北上すると、やや鋭角に旧道が右へ別れる。
写真のフレーム外だが、現道の左側は防波堤の海岸線に接している。
早速、旧道へ入る。
見ての通り集落内の道であるから、「生活道路」として現役である。
しかし、入口には思わぬ看板が立っていた。
“進入禁止 この道路は産業道路に付き 進入はご遠慮下さい 口野自治会”
進入禁止というのはまあ分かる気もする。
生活道路であるから、抜け道として利用するような部外者の通行を自粛してもらおうという道は良くある。
だが、「産業道路」というのは珍しい表現である。
今日、このコトバは余り馴染みのないものとなったが、戦後、高度経済成長の時代には各地に産業道路と通称される道が生まれている。
明確な定義はないのだが、主に工業地帯における貨物輸送を最大の目的とした道路のことをいう。
そして、その