8:34 【現在地】
出発から自転車を漕ぐこと3時間と30分、走った距離は10km。900mからスタートした海抜も、今や1640mに達した。
この間、ひたすらに鹿曲川の清流を遡り続け、その水上が織り成す春日渓谷さえすり抜けて、この通算6度目となる渡河地点をもって、本川との最終決別となる。
林道鹿曲川線としての残距離は、あと3kmである。
だが、そのうち最後の1kmは、“都市”を通る高原道路として地図上に描かれている。
故に厳しい山岳道路はあと2km、頭上に掲げられた「仙境都市」までのリミットも、同じく「2K」。
いよいよ文句ない終盤戦であるが、高低差は200mという大きな数字をなおも残している。
そして驚いたことに、この最後の本流渡河地点には、橋といえる物は存在しない。その代わりとして、いわゆる “洗い越し” が設けられていた。
有料道路だったなどとは言っても所詮は林道なのだと感じさせる風景だが、まあ世の中には洗い越しの国道があるくらいだから、これは良しとしよう。
ただ、洗い越しを道路として維持する為には、小まめな流木の除去が必要であるという事実だけは、全国の道路管理者に教訓として伝えるべきであろう。
洗い越しは、廃道には向きませんから!
なお、林道はここで鹿曲川から離れ都市を目指すわけだが、このまま川沿いを源頭まで突き上げ、一気に頂上の大河原峠に出る道もある(あった?)ようだ。
道と言っても徒歩道であるが、入口には旧望月町の観光協会が設置した「滝めぐりの心得」なる案内板が立っていた(案内板はもう1枚有るが、そちらは省略)。
そこに書かれた内容は、ご覧の通りである。
……
…サンダルはともかく、スリッパで滝めぐりをしようとする人がいたら、それはもうそういうエクストリーム系アクティビティの愛好者なんじゃないだろうか?(笑)
…といったところで…
突入! バシャバシャバシャーーー!!!
見ての通りで、ここは平地よりも遙かに遅い雪解けの真っ最中である。
それだけに、洗い越しを流れる水の量はかなり多く、自転車に乗ったまま横断する事に軽く恐怖を覚えるほどだった。
しかし、この水位だと、歩いて渡れば間違いなく私の穴の開いた長靴(?!)が浸水してしまうので、今後の心の平穏を考えれば、ここはどうしても濡らさずに乗り切りたいところだった。
意を決して突