【周辺図】
JR飯田線の向市場駅と城西駅の間には、“世にも珍しい”橋が架かっているという。
その名も「第六水窪川橋梁」。
しかしこれ、“珍形式”の橋かと言えばそうではなく、よくあるディックガーダー(上路プレートガーダー)らしい。
それが15連も連なっていて全長は400.7mあると言うから、山中の橋としてはかなり長いのだが、その理由が“珍”なのである。
この橋が変わっているのは、地形図で見て一目瞭然であるとおり、水窪川を渡るように見せかけてそのまま戻って来るという“珍線形”だ。
一名、「渡らずの鉄橋」というそうだ。
道路橋でもたまにこういう線形を見ることがあるが、なるほど鉄道では初めて見るかもしれない。
そしてこの“珍線形鉄橋”(←この言葉10回言ってみれ)にも、その建設に関わる旧線が放棄されているとの情報を読者さんから頂いていた私は、前回の「第一久頭合隧道」解決後、すぐこの場所へ向かうことにした。
両者は最短で300mほどしか離れていない、同じ駅間の物件である。
2009/1/25 7:25
実はこの探索、前回の「第一久頭合隧道」と共に、当初は今回やる予定のなかったものだ。
自転車が昨日故障しなければ、朝一で飯田方面へと向かうつもりだった。
それゆえエスクード常備の僅かな資料と、ノートパソコンに補完してある読者諸兄による「情報提供メール」とが、この日の計画変更の材料となった。
そんなわけで、いつも以上に未知を切り開いていく感覚をもっての探索となったのは、幸か不幸か。
そのファーストタッチとなる向皆外(むかがいと)橋へ立った私の前に、地形図のイメージよりも遙かに壮大な鉄道風景が広がった。
これが、“渡らずの橋”か。
なるほど、その通りの姿をしている。
ちょうど対岸が中芋掘の、意外なほど密集した市街地になっているため、
余計に線路が入りがたく曲がってしまったような印象を受ける。
そして、この橋に対する旧線が有るとしたら、それはもう一箇所しか考えられない。
私は、速やかに“そこ”へ向かった。
【現在地】
きたきた…、早速見えてきた…。
線路が二叉に分かれていたような雰囲気が、ありありと見て取れる一角が現れた!
まずは順調なファーストコンタクト。
ちなみに、ここへ直接来る車道はないので、50mほど離れた道から段々畑の畦を下って、さらに民家の