開発保全航路とは、港湾法第2条第8項に規定され、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針(平成26年1月
国土交通省港湾局)においては「船舶航行量が多く、船舶交通の要衝である区域等において、船舶の大型化や高速化に対応して、海上交通の安全性、効率性を向上させるため、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門
海峡等に開発保全航路を配置する。」とされています。
東京湾の中ノ瀬航路と浦賀水道航路が開発保全航路に指定されたのは、昭和53年4月のことです。
東京湾内の船舶の輻輳化や大型化、危険物輸送の増大に対応した海上交通の安全性確保のために「海上交通安全法」が昭和48年7月に施行されたことにより、中ノ瀬航路と浦賀水道航路の区域が明確化され、航路を航行するルールが定められました。
この2つの航路は、首都圏のみならず日本の経済や社会活動を支える非常に重要な航路となっていますが、浦賀水道航路には満潮時に殆ど水没している第三海堡が存在し、中ノ瀬航路には航路区域内に一部浅瀬があるなど、海上交通安全法が制定された後も大型船通行の制限や海難事故が頻発し、航行の難所となっていました。このため、大型船舶が安全に航行できるよう航路内の障害物撤去や必要水深を確保するために、昭和53年4月に港湾法の一部を改正し、中ノ瀬航路全域及び浦賀水道航路の一部(第三海堡周辺海域)を開発保全航路の区域に指定して、国自ら開発・保全することとされました。
その後、平成12年3月に漁業補償が締結されたことにより、本格的に「東京湾口航路事業」が開始されることになりました。
この事業は、喫水20mまでの大型船が安全に航行できる水深として−23mを確保するために、第三海堡の撤去と中ノ瀬航路を浚渫するもので、平成12年12月より着工し平成20年8月に完了しました。
開発保全航路の指定以降も、外貿コンテナ貨物量の増加や輸送船舶の更なる大型化、危険物搭載船の増加などにより、海難事故に伴う航路閉塞など経済活動への重大な影響が懸念されること、また、航路障害物が発生した場合に速やかな撤去を実施できるよう、平成20年12月に港湾法の一部が改正され、開発保全航路の指定区域がさらに拡大されました。
拡大された範囲は、航路機能に影響を及ぼす第二海堡周辺海域と浦賀水道航路全域となり、既存の開発保全航路と一体的に整備・管