2007/2/21 12:14
日原川の狭窄部に引っかかるようにして存置された、巨大な鋼ガーダーの残骸。
ここまでは比較的穏やかだった流れが、この巨大な障害物によって進路を狭められたせいか、或いは天賦の蛇行のせいか、足元で飛沫を上げ迸る。
これよりさらに奥へ行くには、あとはもう、この残骸の上を進しか無くなる。
そこまでする意味はよく分からなかったが、江戸道到達への拾い忘れた種がまだどこへ落ちているかも知れぬという期待と、単純にこのガーダーと戯れたいという気持ちからであろう。
私とトリ氏は、相次いでこのガーダーへとよじ登った。
掛け合う二人の声は、凄まじい渓声によって殆どかき消され、自然怒ったような声になる。
「ここから上るといい!」
「了〜解!」
この巨大なガーダー橋は、本来50mほど上流に架かっていた。
とぼう岩の地中から石灰石を採掘するため昭和30年代に布設された、戸望2号線のものである。
それが、この有様だ。
不要となって人為的に落とされたのか、或いは何らかの災害に巻き込まれたのだろうか。
これが私企業の鉱山鉄道でなければ、大事件として記録に残されているのであろうが、図書館での調べでは結局何も分からなかった。
かといって、直接会社に訊くのもちょっと憚られる…。
剛性の強い鋼鉄の橋がここまでねじ曲げられたのは、墜落の衝撃によるものか、或いは川の営力か。おそらく後者だろう。
ガーダーの至る所には擦れた傷があり、細かな隙間にねじ込まれた小石など、暴力の跡が鮮明である。
【参考画像】←切断面の様子(建築に詳しい方は、この切断面をどう見るか教えて欲しい)
左の写真は、ガーダーの上流側の橋から振り返って撮影。
そそり立つとぼう岩と、その下腹部に穿たれた巨大な穴。
ワイヤーが引き込まれたその穴の奥は、一体どうなっているのだろう。
あのワイヤーを伝って対岸から潜入するなんてシーンがあったら、それってハリウッド映画だっておかしくないかも。
一方、そんな大それた事が出来ない我々は、谷底でへっぴり腰と牛歩の競演。
下流方向もご覧の通り、救われない深谷。
この先両岸とりつく島なく、一日中光の届かぬ谷間に、進退を極ルの感ありだ。
写真には、かつて辿り着いたことがある、巨大な吊り橋が微かに見えている。
気付いただろうか?
あんな場所に架かっている橋っ