2007/2/21 9:32
都道のすぐ下に隠されていた、途切れ途切れの日原5期道。
日原側から侵入し150mほど進んだ地点で、思いがけぬ障害物に遭遇。
わずか1.8mという路幅を塞ぐだけでは飽きたらず、足りない分の土地は空中に無理矢理求めて建てられた3棟の家屋。
いずれも著しく荒廃していたが、我々はこの廃墟群を、文字通り“突破”せねばならなかった。
そして辿り着いた、一原桟道下。
が、スズメバチのものらしい蜂の巣がたわわに実っており、ここでも足は止められない。
そのまま、一原へ向けての後半戦へ突入した。
プレハブ廃墟を後に、都道下の荒廃した5期道を東へ進む。
石灰質の大岩盤から荒削りに削りだしたような5期道は、すぐ上に都道を作ったときに無造作に崩土を落としたものか、至る所で埋没し斜面と化していた。
日原の崖というのは、独特だ。
通常、これだけの傾斜で、しかもこの“裸”ぶりならば(手掛かりになるような植物が少ない)、まず横断は出来ない。
だが、日原の斜面は余りに風化が進んでいるせいか、急斜面でも乾いた土のようなクッション層が存在する。
これがあるお陰で、足がズボズボと埋まるような感じになり、普段なら恐ろしくて横断できないような場所でも意外に渡れてしまう。
自分が山歩きの超人にでもなったのではないかと、そう錯覚するほどである。
ほとんど道の痕跡らしいものはないので、単純に斜面を水平に横断することを心がけた。
そして小さな尾根を巻くと、視界が一気に開けた。
相変わらず、そこに5期道の続きは見えない。
見えないのだが、なぜかまたしても家が、ポツンと一棟…。
伝説の高山都市マチュピチュの日本版があったら、こんな景色だろうか。
いくら平坦な土地が少ないからといって、なぜ敢えてこの崖に家を建てる必要があったのか。
どう見ても、見間違えではない。
そこには確かに、青いプレハブ屋根の家が一軒建っている。
都道の真下、おそらく5期道のあっただろう延長線上に。
見れば見るほど、凄い家である。
残念ながら既に廃屋のようだが、さほど崩れている様子もない。
堅牢そうなコンクリートの大きな土台の上に乗せられているせいだろうか。
しかし、家人はどうやってこの家と外界を行き来したのだろうか。
強引に斜面を歩いてこの5期道か、或いは上の都道に出ていたのか