御積島周辺
おしゃくじましゅうへん
(写真提供・酒田市)
飛島の西方1キロメートルの所にあるこの島は、海中から絶壁を見せてそそり立ち、小さな島ながらも標高は77メートルと飛島よりも10メートルほど背が高い。
その絶壁がウミネコたちの繁殖地になっているのです。
全島が流紋岩という岩肌をむき出しにし、ほぼ円筒形をなしています。
島の北側に幅7メートル、高さ12メートル、奥行き55メートルほどの洞窟がぽっかり口をあけており、この中に遠賀美神社があります。洞窟の中に夕日をあびてきらめく岩があり、それが竜のウロコのようにみえることから竜神を祀るようになったのでしょう。
その竜神のお守りのせいか、この島の周辺にはとりわけ魚たちが多く、貝類も豊富です。
また島根の周辺は北、南、西側によって大きく変化を見せ、群がる魚の種類もことなっています。
西側は潮流が速くマダイ・コブダイの大物(50〜100センチ)が集まり、起伏に富む岩肌にまるで植物のような腔腸動物のイソバナが美しい花園をつくっています。
岩陰からメバルやクロソイが出てきて、水中にとどまり大きな目でじっと見つめます。
南側には「トド穴」があります。かつてこの穴にトドが潜っていたという言い伝えがあり、そう呼ばれるようになったのですが、今はトドならぬサメが入っています。おとなしい性格なので、静かにさわるだけなら動きもしません。
そのほか回遊性のイナダ・イシダイ・スズメダイ・チャガラなどが群をなして、楽しそうに泳いでいます。
北側には垂直に40メートルまで落下する絶壁があります。潮流がほとんどなく、静かな水底にガンギエイ・オコゼ・リュウグウハゼなどが、また壁面にはタコヒトデ・ウミイチゴ・ウミカラマツなど彩り美しく張り付いています。
この章ではこの変化に富む御積島周辺を、浅い所から深い所へという流れにそって紹介し、間に「トド穴」とその周辺を入れてみました。(写真・トド穴)次のページへ(アサヒアナハゼ)
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